浜松医科大学で臨症薬理学の講義をしてきました。
2026.07.22
6月29日に浜松医科大学で臨症薬理学の講義として、薬理遺伝学に関する講義を行って来ました。同じお薬を内服しても、効果の出方や副作用の修験状態も個人差がありますが、その薬の効果の個体差に遺伝子多型が関わっていることについての講義です。
浜松医大在籍中に、消化器系の治療の効果の個体差に関わる研究を行っていたこともあり、まだ、学会においても関連した活動をしているため、今年も講義の依頼があったと考えております。講義の準備はそれなりに大変ですが、毎年新しいトピックスがあるので、それらを盛り込むことでいつも新鮮な気持ちで講義に臨むことができます。
今年のトピックスはレカネマブ(ヒト化抗ヒト可溶性アミロイドβ凝集体モノクローナル抗体)とAPOE遺伝子多型の関連です。アルツハイマー型認知症の治療薬であるレカネマブを投与すると脳浮腫や脳出血といった副作用が出現するのですが、その出現頻度にAPOE遺伝子多型で違いがみとめられるのです。問題なのは、このAPOE遺伝子多型はアルツハイマー型認知症の発症リスクをにも関わっているのです。ですので、レカネマブの投与に際して、APOE遺伝子多型検査を行って、APOEがε4/ε4のタイプであると判明するとレカネマブ投与での副作用リスクが高まるので、投与回避にもつなげられますが、同時にアルツハイマー型認知症の圧勝スクが高いこと示されてしまいます。ですので、家系的にアルツハイマー型認知症が高いことが明らかになってしまい、倫理的な配慮が必要な検査なのです。
もう一つはボリコナゾールとCYP2C19遺伝子多型の関連です。ボリコナゾールは抗真菌薬ですが、肝障害リスクがあり、血中の薬物濃度を検査しながら使用することが推奨されておりますが、CYP2C19遺伝子多型を事前に検査してその結果に応じた投与を行ったところ、肝障害の頻度を減らし、ながく薬を投与することができるようなったという論文が出ました。先制医療としての薬理遺伝学の有用性が示されたのです。
学生さんも熱心に講義を聴いてくれて、やりがいを感じた次第です。
来年度も依頼があれば新しいトピックスを交えて講義をしたいと考えております。
