院長ブログ blog

慢性便秘症の講演をしてきました。

2025.04.15

04/14(月)に静岡で慢性便秘症に関する講演をしてきました。座長は、友人でもある静岡県立総合病院消化器内科部長の大野和也先生にしていただきました。

便秘でお困りの方は多くいらっしゃると思います。便秘の治療はただ単に便を出すだけではなくて、快適にスッキリした排便をしてもらうことが大事で、満足度が重要です。

実は、便秘は生命予後にも影響して、便秘の方はそうでない方よりも生命予後が悪いことが疫学的な調査研究で明らかになっております。便秘は心臓病、脳卒中、大腸がん、腎臓病、認知症等のリスクを高めることがわかってきております。また、便秘にはいろいろな基礎疾患が隠れていることもあり、決して一筋縄ではいかない疾患です。当院でもできる限り便秘症の方には大腸内視鏡検査を受けていただき、大腸全体の評価や腫瘍性病変の検出に努めたり、基礎疾患の有無の検索も行っております。

さて、以前のブログでもお伝えしましたが、当院の腹部エコー検査機器をリニューアルしました。以前の機種でも観察できましたが、新たな機種ではより詳細な観察が可能で、便秘の状態も腹部エコー検査でわかります。大腸全体での便の貯留状態や拡張の有無等が把握できます。直腸に便が残っていても便意が無ければ、直腸の排泄機能の低下も考えられるので、治療方針の決定にも役立ちます。講演でも便秘診療における腹部エコー検査の活用法についても解説しました。

直腸のエコー所見

                                                    

講演をするとなると準備が大事です。現在も浜松医大での講義に便秘に関する内容も含まれております。いつも新たに講義や講演の機会があると以前スライドのままでは物足りなく感じるため、最新の知見を加えるべくいろいろと資料を検索しますが、そうすることで自分自身の便秘診療に関する知見を深めることができるため、今後も講演や講義の機会は大事にしていきたいと考えております。

便秘の治療はどうしても薬物療法に頼りがちですが、最新のガイドラインでも食生活の改善、水分摂取、適度な運動、規則的な生活で排便リズムを整えることが第一で、その重要性が明記されております。なるべくお薬に頼らないで自然な排便ができるようにアドバイスできればと思っております。

今回の講演で改めて便秘ついて整理できましたので、明日からの当院での診療に生かしていきたいと考えております。